犬と暮らす人

2011年1月まで、ラブラドール・レトリーバー「タイスケ」と暮らしていた、表はフリーのシステムエンジニア、裏はなんちゃってジャズギター弾きの日常。

災害を まるで祭と 思ふてか

阪神の震災の時、オレは東京で仕事をしていて、あの災害を、テレビの向こう側の出来事として観ていた。とは云うものの、自分の根っことも云うべき土地を襲った災害に、気が気ではなかった。95年1月17日の夕方、定時後の休憩時間中に、喫煙室にあったテレビに映っていた、神戸・長田の燃える映像を、何とも云えない気持ちで観ていると、同じ職場の、埼玉に住んでいる若い男が、「まぁ、ボクにはこの地震が起こることは、前もって分かってましたけどね」と軽口を叩いた。普段から冗談を口にする男だったが、その時に、そんなことを口にする、意味が全く理解出来なかった。そいつにとって、関西は、全く、縁もゆかりも無い土地、シンパシーを感じない土地だったのだろう。単なる無関心なら未だしも、カンケーない土地に対する、無神経な発言に、オレはブチ切れた。「ふざけるな、被災したのは、オレの根っこの土地だ。お前にはカンケーねぇだろうが、オレの居る前で二度とそんな口聞いてみろ、ただじゃおかねえからな」 そいつは、さすがに黙り込んだ。

今回の、東北の災害に対して、その土地に全くゆかりの無い、知り合いも殆ど居ない(秋田に昔のチャット仲間が居るが)オレは、比較的冷静に報道を観ていた。福島第一原発の事故は平静に観ていられなかったが、概ね、逆上することもなく、オレの日常を全うするようにしていた。
かつてオレがブチ切れた、あの埼玉の男のようなことは無いものの、必要以上にシンパシーを感じなかった。
感じたって仕方がないのだ。遠く離れた関西の土地で、逆上して何になる? 埼玉のあいつのように、軽口叩いて揶揄するなんてのは論外だが、少なくとも、オレ達の目の前の生活をこなしていく以外に、オレ達のやるべきことはないはずだ。

■遊ぶ金ほしい…女子高生コンビニ震災募金箱盗む
(読売新聞 - 03月20日 19:42)
http://news.mixi.jp/view_news.pl?id=1541653&media_id=20

「東北に寄付を」24歳が詐取
http://news.mixi.jp/view_news.pl?id=1541183&media_id=4

こう云う連中が、どうしても出てきてしまう。腹立たしいと云うか、恥ずかしい。シンパシーを感じないどころか、けだものじゃないか。かつて軽口を叩いた、埼玉の男が、ましに思えてくる。

人間てのは、こんなに浅ましいものかね、しかし。