犬と暮らす人

2011年1月まで、ラブラドール・レトリーバー「タイスケ」と暮らしていた、表はフリーのシステムエンジニア、裏はなんちゃってジャズギター弾きの日常。

長い長い 長く重いが 悪くない 

昨日の雨を経て、今日は随分と冷え込んでいる。去年、モリゾーさんから譲り受けたデロンギのオイルヒーターを、とうとう出した。あとひと月は暖房器具なしでもいけるかと思っていたんだがなぁ。

朝、9時半から出掛けて、地元のシネコンで、「沈まぬ太陽」の初回上映を観てきた。平日の初回上映なのに、観客の多いこと。チケットカウンターに十数人が並んでおり、諦めかけたが、前から4列目の真ん中辺りの席を取れた。平日にこの観客数、いやぁ、善き哉。邦画の力作がヒットするのは喜ばしい。

さて、作品だが、重かった。実に真面目に、誠実に、本格的に創られていて、その意味で評価に値する。いい映画であることには間違いない。
主演、渡辺謙は全編出ずっぱり。今や、たった独りで大スクリーンのアップを支えられる、日本を代表する映画スター。実に堂々たるものだった。労組委員長だった若い頃は、鬘をつけたりしてちょっとコスプレ気味だが、誠実だが愚直な企業人を見事に演じている。敵役、三浦友和も、腹芸の深いところを見せて好演。渡辺謙との感情のすれ違いも、火花を散らす演技が素晴らしい。

脇役好きとしては、香川照之、西村雅彦、小野武彦矢島健一渡辺いっけいと云った芸達者の芝居を楽しんだ。それと、なんと云っても木村多江! 石田ゆり子姫に次ぐ、好きな女優第2位の木村多江の芝居は絶品。あぁ、この人も既に人妻なのだなぁ。

映画としての力も相当なものだが、100%ノれたかと云うとそうでもない。会社側の労組切り崩しが、柴俊夫や西村雅彦と云った曲者を絡めて面白いわりにあっさりとしているのに対し、後半の政界の黒幕が絡む部分が、役者の魅力の部分でイマイチと云うこともあるからだろうか。加藤剛演じる総理大臣が、モデルと目される人物に比べて清廉なイメージだし(モデルは云わずもがな、大勲位である)、首相ブレーンとして動く人物(フジで放映中の「不毛地帯」の主人公、壱岐正のモデルともされる、関西の商社の重要人物)を演じる品川徹は、はっきり云えば大根ですしね。

いい映画であることは間違いない。但し、それなりの気構えを持って行かないと、そーとー疲れる。鑑賞されるつもりのかたは、そのつもりで。
しかし、こー云う映画は、DVDぢゃダメなんだよね。劇場で観ないとなぁ。その割に、気軽に進められないンだよね。多くの人に観てもらいたいとは思いながら。

明日は文化の日。休日だが、既に年末進行に入った妹夫婦の印刷屋は営業。と云うことで、寒い中、那由多がお泊り。明日はしっかり遊んでやるか。
ブラックナイロン張ったイーストマンも弾き込んで、弦を馴染ませたくもあるんだが。