犬と暮らす人

2011年1月まで、ラブラドール・レトリーバー「タイスケ」と暮らしていた、表はフリーのシステムエンジニア、裏はなんちゃってジャズギター弾きの日常。

眼力を 厭ふるなかれ 堀田イト

今クールの楽しみは、火曜10時の「明日の、喜多善男」と、木曜10時の「鹿男あをによし」だ。
「鹿男〜」は原作小説まで買って、三日で読んでしまった。とにかく面白いのである。

ドラマの方は、小クライマックスとも云うべき剣道の対抗戦優勝と云う先週の展開から、今週新たに伏線が張られ、またまた面白さが深まってきた。
ここからの物語の格となるのは、やはり堀田イト役の多部未華子だ。尋常でない眼力で、白い胴着も凛とした少女剣士振りから、些細なきっかけで気持ちが揺れる可憐な女子高生役を快演している。

多部未華子の眼は、正直、ちょっとコワい。一重で細く、少し釣り上がっていて、怜悧な、刺すような視線を持っている。この眼で玉木宏を睨みつけ、「嫌いです」と云い放つ瞬間は、正に彼女の面目躍如である。

彼女は「夜のピクニック」と云う映画に主演していて、そのポスターは夜空を見上げる多部と石田卓也(近作では「リアル鬼ごっこ」で主演。アニメ「時をかける少女」で間宮千秋の声も担当している)のアップの顔が並んでいる。下から見上げる角度になる彼女の表情は、非常に柔らかなものだ。これは彼女の表現力、演技力と云うより、見る角度によって様々に印象が変わる、ニュートラルな表情と云うことだろう。衒いも外連も無く、そう云う自然な表情が出せる多部未華子と云う女優は、なかなかに侮れない。

万人が見て可愛いと感じる女優さんではないかもしれないが、その眼力は、天が彼女に与えた武器だ。厭うことなく、そのコワい眼で進んでいって欲しいなぁ。

ドラマはいよいよ佳境。来週は堀田イトの正体と、混乱の原因が判明するはずだ。楽しみ楽しみ、なのであります。