犬と暮らす人

2011年1月まで、ラブラドール・レトリーバー「タイスケ」と暮らしていた、表はフリーのシステムエンジニア、裏はなんちゃってジャズギター弾きの日常。

満中陰 前夜に いつか王子様

「Someday My Prince Will Come」は大好きな曲だ。去年の5月、2回目の参加となったToDoセッションで初挑戦して玉砕。以来、性懲りも無く、あらゆるセッションで演奏している。

「おとうさん、ねてる?」
「なに?」
「質問」
「いいよ」
「『虹の彼方に』(オーヴァー・ザ・レインボウ)ってどこにあるの」
「『虹の彼方に』の彼方に(オーヴァー・オーヴァー・ザ・レインボウ)、だろうね。多分」
「“『虹の彼方に』の彼方に”(オーヴァー・オーヴァー・ザ・レインボウ)は?」
「“『虹の彼方に』の彼方に”の彼方に(オーヴァー・オーヴァー・オーヴァー・ザ・レインボウ)、だろうね。多分」
「そうくると思ってたんだよね、わたし。じゃあオーヴァー・オーヴァー・オーヴァー・オーヴァー・オーヴァー、以下略して、・ザ・レインボウってどこ? 5字以内で答えて。だって『虹の彼方に』(オーヴァー・ザ・レインボウ)だって5字だもんね」
「『その彼方に』(オーヴァー・ゼム)」
「おとうさん」
「なに?」
「それうまい言い方だって、わたし、思うけどさ。でも、そんなの夏休みの宿題で提出したら、先生に怒られるんだって知ってる? じゃあ、おやすみなさい」
「おやすみ」

「おとうさん、ねてる?」
「なに?」
「おとうさん、けっきょく『虹の彼方に(オーヴァー・ザ・レインボウ)』がどこだか知らないんでしょ」
「むにゃ、むにゃ」
「誰に聞いたら教えてくれるのかしら」
「『いつか王子様が(サムデイ・マイ・プリンス・ウィル・カム)』だろうね、多分」
「・・・・・・」
「どうしたんだい?」
「これでわたしが『いつ教えてくれるの?』ってきいたら、“いつか『いつか王子様が』(サムデイ・サムデイ・マイ・プリンス・ウィルカム)だろうね、多分”っておとうさん言うんだよ。そういうのはっきりいってずるいと思うんだ、わたし」
「そうか」
「そう。だから、もうねる。おやすみなさい」
「おやすみ」

高橋源一郎「虹の彼方に(オーヴァー・ザ・レインボウ)」より)

長々と引用してしまった。大好きな小説なので。

「Someday My Prince Will Come」は、ビル・エヴァンスの音源でよく聴いている。
で、聴いていると、25小節目のコード進行が、青本とは違っている。

青本に載っているコード進行は、

BbM7 D7aug Eb Edim

だが、エヴァンスの音源のコード進行は、(多分)リアルブックで確認できて、

Fm7 Bb7 EbM7 Edim

となっている。この音感が好きで、日曜のToDoセッションで演奏した時、バッキングをこのコード進行でやってみた。
ところが、ピアノと音がもろぶつかってしまった。青本で演奏しているから当然なのだが、改めて、ギターとピアノの競演の難しさを感じた。
次回からは、「こっちの譜面でやりましょう」とか云って、リアルブックのコピーを持ってった方がいいなぁ。

明日は、親父の四十九日だ。仕事は休みをとった。これでオレもお袋も、一段落つくことになる。早かったなぁ。