犬と暮らす人

2011年1月まで、ラブラドール・レトリーバー「タイスケ」と暮らしていた、表はフリーのシステムエンジニア、裏はなんちゃってジャズギター弾きの日常。

そこに父が いる日常を 噛みしめる

仕事をしていると、携帯が鳴った。お袋の携帯からの入電。
ああ、そうか。とうとうきたか。
出ると、お袋が落ち着いた声で、「お父さんが、全く歩けなくなったから、救急車に来てもらった。今、病院にいる」と告げた。
入院するかどうかは状態をみてから決める、とのこと。
定時に仕事を切り上げて、早めに帰宅する、と云って電話を切った。

2年前に、軽い脳梗塞が発見され、1ヶ月ほど検査入院して以来、親父は目に見えて衰えている。
入院前は、暇さえあれば図書館に行き、古い映画のDVDを借りていたが、それにも行かなくなって、出歩く機会が激減してしまい、家の中を移動するだけでも大騒動である。
歳の割には気の若いお袋に、しりを叩かれているから、まだどうにかなっているが、緊張の糸はいつ切れるともしれない。
オレも、腹をくくらなければならないかもしれない。

最初の電話から1時間ほどして、お袋から再び連絡があった。入院はしなくてよい、とのことなので、帰宅しているという。少し安心し、午後の仕事を終えて、定時で切り上げた。

税吏だった親父は、厳しくて、怖い人だった。その親父が、すっかり小さくなって、足元もおぼつかない、と云うのは、寂しいものだ。
オレは、親不孝な息子だったから、今からでも出来ることをしてやらなけりゃ。