犬と暮らす人

2011年1月まで、ラブラドール・レトリーバー「タイスケ」と暮らしていた、表はフリーのシステムエンジニア、裏はなんちゃってジャズギター弾きの日常。

「危いことなら銭になる」

よみうりテレビの「シネマダイスキ」というプログラムが始まって、もう20年ちかく経つんじゃないだろうか。
このプログラムには、随分お世話になっている。
四半期に一回程度のペースで、テーマを決めて、それに沿って何作品か映画をピックアップし、基本、ノーカット、洋画なら字幕で放送する。放映前と終了後に、短く解説をいれて、作品やキャスト、スタッフへのエクスキューズをつけ、横に広がる興味を持たせる。
とにかくチョイスが物凄い。マルクス・ブラザースの「我輩はカモである」は、地上波初放映だったし、「異常心理学入門」というテーマで、
「将軍たちの夜」(ピーター・オトゥール扮するナチスの将校が、娼婦を次々に殺していく犯罪を描いたサスペンス)
ファントム・オブ・パラダイス」(「オペラ座の怪人」を換骨堕胎した、ブライアン・デ・パルマの怪ロックミュージカル)
「サイコ」(云わずと知れた、ヒッチコックの代表作)
「You Are Not I」(「ストレンジャー・ザン・パラダイス」のジム・ジャームッシュが脚本を担当した異色作)
等といった作品を並べたり、君塚良一セレクションで、「踊る大捜査線」のルーツともいうべき、須川栄三の「野獣狩り」を流したり、韓流特集と銘打って、「アタック・ザ・ガス・ステーション!」「八月のクリスマス」「ラストプレゼント」を放送したり・・・。
これまでのラインナップは、以下のサイトを参考にして下さい。

http://www.ytv.co.jp/cinema_daisuki/

さて、7月の末から放送された今夏の「シネマダイスキ」は、よみうりテレビの夏休みイベント「わくわく宝島」にリンクして、「嵐を呼ぶわくわくお宝ムービーズ」という特集だった。ラインナップは、サイトを見てもらうとして、今回、楽しみにしていたのが、中平康の「危(やば)いことなら銭になる」だった。
数年前、WOWOWで中平特集をやったときに初めて出会ったのだが、もう一発でツボにはまった。面白くて面白くて仕方がない。畳み掛けるようなテンポで、ぐいぐい突っ走っていく。モダニズムの奇才、中平康の面目躍如。宍戸錠はカッコよく、浅丘ルリ子はキュートで、長門裕之はすっとぼけていて、左ト全と武智豊子のまあ可愛いこと!
小ネタも楽しい。ポーカーフェースの秀という男が、行きつけのバー「ピンキー」から出てくる。店のホステスが、「また来てねー。浮気しちゃヤーよ」などと見送るバックに、どうやらラジオから流れているらしい、クレイジーキャッツの「ハイそれまでよ」

♪てなこといわれてその気になって 三日とあげずにキャバレーへ 金のなる木があるじゃなし 質屋通いは序の口で 退職金まで前借し 貢いだあげくが ハイそれま〜で〜よ〜♪

タイミングばっちりで聴こえてくるのだ。これだけでウレシクなってくるじゃないですか。

ジョーとルリ子の会話も楽しい。

ルリ子「エンピツ石鹸ゴムひもみんな間に合ってるわ」
ジョー「お嬢さんおいくつ?」
ルリ子「素肌の美しさを威張れる年頃よ。だから化粧品もノーサンキュー」
ジョー「親の顔が見たいね」
ルリ子「まあ無理ね。二人ともお墓の下だから」
ジョー「じゃあ、人をみたら押し売りだと思えなんて、誰に教わったの?」
ルリ子「あら、あんた押し売りじゃないの?」
ジョー「いや、まあ、一種の押し売りだけどね。相手は君じゃない、君のボスさ」

ここで電話が鳴り、ルリ子より早く、錠が受話器を取る。相手は敵役。錠はちょっとした取引を持ちかけるが断られ、ついでに、電話番をしているはずのルリ子へのクビの宣告を言付けられる。

ジョー「今日限りで君はクビだそうだ」
ルリ子「何ですって!? あんたのおかげだわ。あんたが電話に出て、あんな訳のわかんない話をしなけりゃあたしは・・・!」
ジョー「そんなに興奮しておっぱいを揺らすとブラジャーの紐が切れるよ」
ルリ子「おあいにく様、そんなものしてませんよ。(椅子に座ろうとして背中からひっくり返る) きゃあ!?」
ジョー「残念だなぁ。パンティもつけない主義かと思って、一瞬、目を見張ったんだけどね」
ルリ子「もう、失礼ね。どうしてくれんのよ、来月から貯金できなくなっちゃったでしょ」
ジョー「へえ、君、貯金してんの」
ルリ子「そうよ、お金を貯めてパリに行こうと思ってんのに」
ジョー「よせよせ、そんな無駄遣い」
ルリ子「無駄遣い? あんた、あたしがパリへ遊びに行くとでも思ってんの?」
ジョー「でなきゃなんだい」
ルリ子「知りたい?」
ジョー「ああ」
ルリ子「やああああ!」

ルリ子、突然の柔道技で、錠を投げ飛ばす。

ルリ子「名づけて払腰、八方投げともいうわ。柔道二段合気道三段。どう? これならパリにいっても、立派に柔道教師が務まると思わなくて?」
ジョー「・・・いやあ、おみそれしました」
ルリ子「その旅費を貯めるために貯金してたのよ。城南大学の仏文へいって、フランス語の勉強も孜々としてやってるっていうのに」
ジョー「フランス語と柔道? いや、恐れ入りました」
ルリ子「辞めんなら辞めんで、退職金頂きたいわ」
ジョー「そんなこと俺は知らないよ。社長に電話すれば」
ルリ子「電話番号教えてよ」
ジョー「は?」
ルリ子「あたしの仕事は、かかってきた電話の内容を、後からかかってきた電話の相手に忠実に伝えるだけ。社長の住所も電話も、勿論顔も知らないわ。」
ジョー「呆れたねぇ。じゃ、仕事を見つけたときはどうしたんだい? それも電話かい?」
ルリ子「あのねぇ、前に住んでたアパートを追い出されたとき、ここの管理人さんに紹介してもらったの。住み込みで月2万だもん、御の字だと思ってサ。社長ってお金持ち?」
ジョー「まだわからないよ」
ルリ子「探ってるってわけね。どっちが悪いの?」
ジョー「まあ、向こうだろうな」
ルリ子「いいわ。あたし、あんたにくっついてくわ。そしたらいつか、社長に会えるでしょ。そしたら退職金もとれんじゃん」
ジョー「冗談じゃないよ。じゃ、バイビー」
ルリ子「ふざけないで。あんたのせいで失業したってこと忘れないで。どこまでだってついてくわよ、あたし」

いや、テンポも抜群、リズミカルで楽しい会話だ。とにかく全編この調子。

紙幣印刷用のすかし入り和紙を積んだ、全体サビサビの物凄いワゴン車に、ルリ子が乗り込み、時速20キロでノロノロ走る。これを追いかける悪党ども。あまりの遅さに、イライラもピーク。
突然、ルリ子が車を停めて降りてくる。悪党の子分が、ボスに無線で連絡。「道端に車を停めて、スケが飛び降りました」
いったいどういうわけで、と思っていると、ルリ子嬢、道路に飛び出していた仔猫を抱いて、歩道に戻してやる。これを受けての無線報告。「ただいまの停車は猫を助けるためでありました」 強面の子分が、ニコリともせずにこんな報告を大まじめでやるんだからふるっている。

この作品や、小林旭の「東京の暴れん坊」なんかを楽しんでいると、現在の映画産業の、一つの問題についても、意識せざるを得ない。かつての邦画界は、直営館の番組を渋滞なく供給する為に、こういった小品やプログラムピクチュアが溢れていた。そういう混乱(?)あってこそ、才能ある作家が、愛すべき作品を生み出せたんじゃないか、とも思う。ビデオ、DVD市場が発達し、低予算の小品はスクリーン用に作られないという現状は、仕方ないことなのかもしれない。であるならなおさら、ハリウッドの大作やCGアニメや韓流シネマばかり過剰に宣伝するのでなくて、邦画にはこんなに楽しい作品があるんですよ、と伝えてもらいたいものだ。「危い〜」なんて、40年も前の作品なんだよ。


http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20050914-00000033-mai-soci

井戸田クンと安達祐実の接点も唐突だが、それよりなにより、安達祐実、24歳なのね。
「具がおーきい♪」とか云ってたガキんちょがねー。
それにしても、黒田アーサー、残念!
黒田アーサーって、ヘンな名前ですね、関係ないけど)


朝の通勤の、ルーティーンワークってのは、とっても大事。

朝7時1分の市バスに乗って駅に向かい、7時26分発の各駅停車で大阪駅へ。7時50分着。ここから徒歩で、淀屋橋に向かう。8時5分ごろ、淀屋橋着。ミスドに入り朝食。10分で済ませ、すぐ目の前の京阪淀屋橋駅へ。8時21分の萱島行き各停に乗ると、必ず、斜め前に、ちょっと可愛い女の子が座る。8時40分、西三荘着。駅前のサンクスに入り、2リットルのミネラルウォーターをミントタブレットを買い、職場へ向かう。ここまでの間ずっと、ポケットラジオでFMを聴いている。8時55分にデスクに到着。ノートパソコンをロッカーから出して、立ち上げている間に、始業ベルが鳴る。これが朝のルーティーン。ほぼ毎日、このとおり。今朝、京阪電車に乗ると、斜め前の女の子の席に、むさくるしいデブ野郎が座りやがった。あー気分悪い、と思っていると、「守口へは○番線の急行が先着します」という構内放送を聞き、そのデブは急行へ向かった。めでたく、斜め前には、いつもの女の子が座ったのだが、先着する急行に乗るんなら、最初から各駅停車に乗るな! というか、停まってる電車にとりあえず乗るな! 尚且つ、空いてる席にとりあえず座るな! その席は、空いてる訳じゃないんだぞ! わきまえろ!

理不尽なことを書いてるようにみえますか。しかし、オレは、デブは嫌いなんだ。オレも、健康診断の結果で、「肥りすぎです。体重を落としましょう」と毎回書かれてしまうが、オレはがっちりデブなんだ! ぶよぶよデブには厳しいんだ! それに、体重は10キロも落ちたんだ。10キロ落ちて○○キロってのも、寂しいもんがあるけど、それでも順調なんだ。お前らとは、志が違うんだからな!

書いてて、全然、溜飲が下がらない。うーん、天に唾してるからか? なんか虚しい。