犬と暮らす人

2011年1月まで、ラブラドール・レトリーバー「タイスケ」と暮らしていた、表はフリーのシステムエンジニア、裏はなんちゃってジャズギター弾きの日常。

バス停にて

朝、バス停のそばにある駐車場から、「ジジジ、ジジ」と、音が聴こえた。音の方向を見てみると、夏ではおなじみの光景、セミが1匹、地面で羽をばたつかせている。驚いたのは、断末魔のセミを、1羽のスズメが攻撃しているのだ。エサにしようとしているのだろう、すっかり弱っているセミを、小突き回している。写真に撮ろうかと思い、携帯を手に近づくと、スズメが離れてしまう。仕方なく、距離を取って観察していた。
やがて、セミは力尽きたのだろう、音を出さなくなった。スズメは悠々と、セミを突付き始めた。1週間、力の限り鳴き続けたセミの、何ともいえない末路を目の当たりにして、志賀直哉的感慨を受けた、夏の朝のひとコマだった。