犬と暮らす人

2011年1月まで、ラブラドール・レトリーバー「タイスケ」と暮らしていた、表はフリーのシステムエンジニア、裏はなんちゃってジャズギター弾きの日常。

月始め 大阪国の ファンタジィ

月が替わって6月。1日なので、映画が1,000円で観られる。
と云うことで、「プリンセス トヨトミ」を観てきた。

万城目学の原作は既読。京都が舞台の「鴨川ホルモー」、奈良が舞台の「鹿男あをによし」に続く、大阪を舞台にした原作は、ファンタジー小説としても極上の出来で、映像化が楽しみだった。
ちなみに、オレが一番好きなのは、切ないラストシーンが泣ける「鹿男〜」だったりする。

テレビのスポットCMで、中井貴一がアップで「大阪国総理大臣」と語るシーンが、バンバン流れているから、「大阪国」と云うファクターが出て来ることについて語るのは、ネタバレにならないだろう。そう云う道具立ての、ファンタジーなのだが、中井貴一がラストで語る告白は、実に感動的だ。荒唐無稽な道具立てが、この告白を支える下絵として、見事に効いている。

大阪が舞台、と云うことで、ステロタイプの大阪が画面に出て来て、そう云う部分は、大阪人としては、どうしても気になってしまう。大阪城天守閣が近くに見えるホテルの部屋から、街の様子を見に出かけた綾瀬はるかが、新世界や道頓堀や空堀の、誰も居なくなってしまった街並みに呆然とし、その後、大阪府庁に現れる、と云う展開は、位置関係を把握している地元の人間にしてみたら、そりゃないだろう、と思ってしまう。兵庫出身の笹野高史は問題ないとして、東京出身の宇梶剛士、新潟出身の村松利史大阪弁は論外。
丁度近い時期に公開された、やはり関西を舞台にした「阪急電車」が、役者やロケ地で、徹底的にディテールに拘っているだけに、残念なところだ(「阪急電車」は、制作母体が、関テレによみうりテレビってこともあるのだろうけれど)。

そう考えると、東京出身ながら、中井貴一は素晴らしい。お好み焼きの大将としての日常の台詞も、大阪国総理大臣として長い告白をする際も、それぞれトーンを変えながら、違和感のない大阪弁をこなしている。

ドラマ版「鹿男あをによし」のスタッフによる制作、と云うことで、玉木宏宅間孝行カメオ出演は、ドラマのファンとしてはウレシイところ。

とにかく、邦画を代表するスター、中井貴一堤真一の芝居が楽しめ、原作が持っていた感動を、見事に映像化した良作だった。お薦めです。

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明日は、不信任案の採決。げんなりする気持ちと、ちょっとワクワクする気持ちもあって、何にせよ、ヤな感じだ。