犬と暮らす人

2011年1月まで、ラブラドール・レトリーバー「タイスケ」と暮らしていた、表はフリーのシステムエンジニア、裏はなんちゃってジャズギター弾きの日常。

払ひ処 腹を据ゑてぞ 云ひきかせ

タイスケを病院に連れて行き、抗がんの治療を終えた後、近所のコンビニに回って少し買い物。車を頭から駐車場に入れていたので、ハンドルを左に切りながらバックで車道に出そうとすると、動かなくなった。右側に停まっていたベンツの左っ腹に、オレのプラドの右頭が食い込んでいた。

ひえええええ

相手は車に乗っていて、降りてきて確認する。オレも、この状況ではどうしようもない。車を降り、警察を呼ぶ。
相手は、オレがガタガタ云い訳する様子でもないので(勿論、申し開き出来る状況ではない)、比較的柔らかい対応で接してくる。オレの車の中に、タイスケの姿を見つけて、「ラブちゃんですか? ウチはゴールデン飼ってるんですよ」と、語りかけてきた。

やがて、警察がやってきて、事故処理をしていった。オレは、相手と連絡先を交換し、修理の見積もりが出たら、知らせて下さいと告げて、その場は別れた。おそらくCクラスとは云え、腐ってもベンツ。どのくらい請求がくるだろう。

帰宅したが、一挙にブルーになって、夕方まで悶々としていた。ギターレッスンがあったので、気持ちの晴れないまま、アメ村へ出掛けた。いつものように、2階のヴィンテージコーナーに回ると、顔見知りのスタッフ、コウジヤさんが、ニコニコ笑いながら、「いい物が入りました」と云う。59年のES-175。ピックアップはフロントのみ。かなりの美品。早速、試奏をさせて貰う。ギブソンらしい、太目の、なかなか良い音。と、もう一本、コウジヤさんが持ってきたギターを見て驚いた。Sadowskyの、ジム・ホールシグネチャーモデルだ。こちらも試奏させてもらったら、うわーん、これ、相当いいわ。16インチのボディは取り回しもいいし、音も、ダキストのような軽さもなく、芯のある、しかし決して重たくはない音。絶妙のバランスだ。値段を聞くと、かなりのもので、おいそれとは手を出せないが、これ、欲しいわー。多分、まだ調整中なんだろうが、直に店頭に出るだろう。出たら、すぐ売れるだろうなぁ。欲しいなぁ。

いいギター試奏したおかげで、ヘコんだ気持ちも、少しは晴れた。しょうがない。腹括って、払うもんは払ってやる。仕事がある間は、オレはそこそこ稼げているんだし。
修理の支払い分を、ギターに回したい、と云う思いは、あるんですけどね。