犬と暮らす人

2011年1月まで、ラブラドール・レトリーバー「タイスケ」と暮らしていた、表はフリーのシステムエンジニア、裏はなんちゃってジャズギター弾きの日常。

一葉も 諭吉も 逆立ちさせれども

がっつり縁起をかつぐ方ではないが、細かいことはちょいちょいしている。

朝は、時計代わりにテレビの情報番組を点けている。出掛けるくらいの時間に、「本日の星占い〜!」というヤツが流れる。どのチャンネルでも流している。
9月30日生まれなので、天秤座と云うことになるが、やはり、運勢ランキングで上位にくると少なからず気分はいいし、最下位とかだと些かヘコむ。とは云え、そんなことは一瞬で忘れてしまって、通勤ラッシュを経て職場へ向かい、毎日の激務をこなすことになる。朝、気分良く出掛けられるかどうか、と云う程度のものである。

今は、金に困ることはなくなったが、若い頃ははるかに貧乏で、給料日前に口座に数百円しか残っていない、と云うようなこともしばしばあった。だから、と云う訳ではないが、財布に札を入れるとき、我ながらミョーな癖がついている。

1万円札、5千円札、千円札を、それぞれまとめて入れる。これはまあ普通だろう。上下裏表も揃える。これをやる人もそこそこ居るとは思うが、オレの場合はお袋から受け継いだ性格だ。几帳面なようだが、部屋は散らかっている。バランスが悪い。

自分でもヘンだ、と思うのは、必ず札を逆さまに入れていることだ。福沢諭吉樋口一葉野口英世の肖像の、頭の方が財布の奥に入っている。入っているのではない、意識的に入れているのである。
理由もはっきりしている。逆さまにして、なるたけ財布から出て行かないように、と云う縁起担ぎなのだ。誰に教わったわけでもないのだが、札は必ずそう入れる。

しみッたれてるなァと思いながら、この癖だけはどうも止められない。止められないが、これで出費が抑えられている、と云う実感もさほどない。
今となっては、逆さまに入っている方が、なんとなく収まりがいい。気持ちの問題である。

ダメだねぇ。オレぁ大物にはなれないね。今更、別にいいか。フツーに過ごせれば。