犬と暮らす人

2011年1月まで、ラブラドール・レトリーバー「タイスケ」と暮らしていた、表はフリーのシステムエンジニア、裏はなんちゃってジャズギター弾きの日常。

べうべうと 我儘無尽 九年目

「べうべう」とは「びょうびょう」または「びよびよ」と発音する。
言わずもがな、犬の鳴き声の古語である。

25日は、我が家の看板息子、タイスケの8歳の誕生日であった。

すっかり弱った親父の、アニマルセラピーの意味も兼ねて飼うことにした、イエローのラブラドール・レトリーバーは、「タイスケ」と名付けられ、オレはちゃんと躾けたのに、肝心の親父が甘やかすものだから、すっかり我儘に育ってしまっている。
タイスケにとって、我が家での序列は、
オレ>タイスケ=お袋>親父
である。

お袋の話では、最近、近所の小学生、サエコちゃんという女の子が、タイスケの遊び相手になっているという。
平日の昼間に、学校を終えて、毎日のように友達を連れてやってきて、タイスケと遊んで帰る。サエコちゃんの家では、黒ラブの「ロデム」(バビル2世ですな)を飼っているらしく、つまり犬好きで、通学路にある我が家で見かけた、人懐こいタイスケが気に入ってしまったらしい。
お袋にしてみれば、孫が遊びに来てくれるような感覚なのだろう、お菓子を買って準備している。

今日、車で、お袋と買い物に出かけ、帰宅すると、お勝手口に女の子が立っていて、門越しにタイスケと遊んでいる。
「ああ、サエコちゃんが来てるわ」 お袋が云う。
平日は、オレの帰宅が遅く、なかなか散歩に連れて行かれない、とお袋から聞いて、そのことをお父さんに話し、散歩をさせに来てくれたらしい。
携帯でお父さんを呼び、わざわざ来てくださったので、お言葉に甘えて、散歩に連れて行って頂いた。
タイスケは、シサシブリの散歩で、狂喜して吠えまくる。
興奮しきっているのだが、オレが厳しく「お座りッ!」と云うと、座って、ハーネスとリードを大人しく着けられるのを待っている。
こうしていると、賢く見えるンだよなぁ。

犬好きのサエコちゃんは、春から中学生らしい。
「通学路が変わるねぇ」とお袋に云われて、
「ううん、かまへん。遊びに来る」と云っていると云う。
全く、タイスケは幸せモノだ。8歳の割りに、若干小柄で、「待て」「お座り」「伏せ」は一通り出来るタイスケは、近所では可愛くて賢い犬だと思われている。

実際は、オレのことは怖がっているが、お袋を「甘えればお菓子をくれるひと」と思っているし、親父に至っては完全にナメていて、サンダルを咥えて逃げ回る始末だ。困った我儘お大尽である。

犬の8歳は、人間で云えばもう壮年だ。いい歳なのだし、九年目を迎えるのだから、もう少し落ち着いてみせろよ、タイスケよぉ。

犬は飼い主に似る、と云いますがね。