天才女優 - 犬と暮らす人

「のだめ」上野樹里の好演に注目
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「スウィングガールズ」で、矢口史靖カントクをして、「天才」と言わしめた上野樹里ですからね。

今の若手女優で、のだめを演じられるのは、はっきり言って、彼女しかいない。
「コメディエンヌの才能が開花したか」とは、認識不足も甚だしい。

月９でのだめを演じながら、「幸せのスイッチ」では家族関係の葛藤を表現し、「虹の女神」といった正統派ラブストーリーもこなし、芝居の守備範囲の広さは驚異的。しかも、広く深い。

天性のスター長澤まさみ、泣かせる女優沢尻エリカ、若き演技派宮崎あおいといった連中よりも、オレは、天才上野樹里を買う。

土曜の話。

昼過ぎに、お袋から頼まれた冷凍食品と、タイスケのエサを買いに、車で出かけた。
車を出すときに、どちらから先に廻ろうか、少し逡巡し、とりあえず川沿いのバス通りに出た。これが、間違いの始まりだった。

先ずは冷凍食品。よく行く、業務用食材スーパーに向かう。

いつもなら、このスーパーには、山の中を抜けるバス通りから裏道を抜けて向かう。その方が、駐車場に入り易いのだ。
ところがこの日は、川沿いのバス通りに出てしまっていた。駐車場には、対向車の多い交差点を、右折してから入らなければならない。
選んでしまったものは仕方がない。後者のルートを辿りながら、スーパーに向かった。

件の交差点のひとつ手前に、もう一回り大きな交差点がある。オレがやってきた道から見て、左折するとJRの高架があり、これを越えて少し行くと、JR、阪急、何れの駅前にも出られる。
住宅街から繁華街へ抜けていく、比較的、交通量の多い交差点だ。

オレが走る車線を行く車の多くは、この交差点を左折する。
対向車線の車は右折。左折車が多いので、十数台が列を連ねて待っている。
オレの目的は、もうひとつ先の交差点を右折した、業務用食材スーパーなので、高架の交差点は、当然直進する。
眼前の信号は青。オレは普通に直進した。

交差点を抜け、連なる右折待ちの車の横を通り過ぎている、まさにその時、右折車の間から、自転車が飛び出してきた。

「アッ！」と思った時には、自転車は、オレの車の右側面に衝突し、そのままひっくり返った。
オレは、数メートル先の、ガソリンスタンドの前の歩道に乗り上げる形で車を停め、ルームミラーを見た。

自転車の主は、とりあえず道を渡り切って、歩道にまで達しており、そこでしゃがみこんでいた。
オレは車を降り、怒りに震えながら、自転車のもとに向かった。自転車はあきらかに信号無視。ひとこと言ってやらなければ気が済まない。

自転車の主は子供だった。中学生の男子。怒りがまた湧き上がってきた。

「何やッとんねん、コラ！」

開口一番、オレは怒鳴りつけていた。
中坊は、「すいません」とあいまいに頭を下げた。

「怪我はないんか？」
「・・・ハイ。大丈夫です」

見たところ、服が擦り切れたりといった、大きな怪我はないように見える。

「ホンマに大丈夫か？」
「ハイ。すいません」
「お前、気ィつけろや。赤やったやろ？」
「・・・ハイ」

中坊は完全に怯えていた。デカい車から、デカいひげ面のオヤジが飛び出てきて、怒鳴りつけられたのだから無理もない。

「チャリンコ、信号守らんでエエ云う話はないンや。怪我、ないんやったら、不幸中の幸いや。これから気ィいけろよ、わかったか！」
「・・・ハイ。すいません」

中坊は立ち去り、オレも、興奮が冷めないまま、車に戻り、スーパーに向かった。

話はこれで終わらない。

帰宅し、うだうだしていると、電話が鳴った。親父が出て、「警察からや」と取り次いだ。
出てみると、さっきの接触事故について、通報があったという。相手もくるので、これから出頭するように。

あちゃー、報告の義務があるのを忘れてた。しかしまぁ、こちらに非があるとは、全く思ってないので、市警に向かった。

先についたオレが、先ず調書をとられ、中坊の方は、お袋さんに付き添われて、あとからやってきた。
担当官が、車と自転車を検証し、双方の調書を判断して、大きく食い違いがないようなので（あたりまえだ、ひき逃げになんかされてたまるか。こっちは被害者なのだ）、あとは、双方で話し合うように、とのこと。

若いお袋さんは、息子に非があることを認め、目だった外傷もないけれど、後遺症とか出ないかと心配で、と仰る。
オレは先ず、こちらから何かお願いすることはなにもありません、と言った。車にキズはついたが、大騒ぎするほどのことではない。頭ごなしに怒鳴りつけた、こちらも申し訳ない。悪いことをした、と息子さんが反省されるなら、それでいい。ご心配なら、病院に行って下さい、それで、なにか体に影響がある、というような話であれば、改めて連絡を下さい、その際にご相談しましょう、と言って、連絡先を交換して分かれた。

車を運転される方々。こちらに非がなくても、接触があったら、それは事故です。ちゃんと通報しましょう。

自転車、原付に乗られている方々。車からみて、あなた方の無茶な運転や交通ルール無視ほど、怖いものはない。むりやり間をすり抜けて前へ出ようとしたり、車道を逆走したり（チャリンコに多いンだよなぁ）、そういうことは、お互いの為にもやめましょう。

あと、むやみやたらに怒鳴ったりするのも良くないですね。怒鳴った方も怒鳴られた方も、後味よくないもんね。
つとめて、穏やかに暮らせる世の中であって欲しいものだ。